心がけ・ポイント

哲学の授業でのファシリテーターの役割

哲学の授業(ワークショップ)において、テーブルに配置されたスタッフの役割はファシリテーションを行うことです。中には声の小さい子ども・受身な子ども・落ち着きがない子ども・伝えることが苦手な子どもなどなど。様々なタイプの子どもが参加してくれています。

ちょっとしたキッカケ次第で前向きに発言するようになったり、それにより活発な意見が交わされたり、ワークショップ全体の質が向上することもあります。その場の状況を判断して振る舞うという現場力が必要になりますが、このページでは大まかな役割と振る舞いについて解説していきます。

一人の気持ちがグループ全体に届くように

ついつい陥りがちなのが、声が小さいが故に子どもの近くに歩み寄ってファシリテーターと子どもの2人の会話になってしまうことです。声を大きくしてもらうというよりは、子どもの声を聞いたらそれを他の参加者(子どもたち)に分かりやすく届けましょう!

-ポイント-

  • ニックネームを考えてもらって、その名前で呼ぶことで距離を縮める
  • アクティビティの時間で一気に仲良くなる
  • ファシリテーター自らのテンションを高める

進行イメージ

【繰り返していく流れ】(発表シーン)
発表者→参加者・ファシリテーター(一旦整理する)→参加者

【繰り返していく流れ】(質問シーン)
参加者→発表者・ファシリテーター(一旦整理する)→発表者→参加者へ理解できたか確認

*発表者はあくまでも参加者に意見を発表しますが、それをファシリテーターが一旦整理する。(分かりやすく)そして、参加者に届けると理解が深まります。

このような流れが作れると、場のテンポもよくなり発言がしやすい環境を創ることができます。伝えるのが苦手な子も大人のファシリテーターが一旦整理して全体に共有することで、参加者の子どもたちの理解も深まり質問を行いやすくなるかもしれません。

*イメージを以下に進行例として記載しました。

進行例

*スタッフはテンション高く、明るく元気にお願いします!!!!!!

例:生涯働いていたいカードが大切ではないエリアに配置されており、安定した収入が欲しいカードが大切にしたいエリアに配置されている場合に子どもから実際に出た質問。

Aくん(質問者)安定した収入を維持するためには生涯働かないといけないと思うのですが、そこはどう考えていますか?

ファシリテーターおおぉ!鋭い質問やねー!すごい!

AくんはBくんの生涯働きたくないという思いと安定した収入が欲しいという思いがあって、安定した収入を維持していくためにはずっと働かないといけないんじゃない?という質問だね! この質問に対してBくんはどう考えていますか?

Bくん(発表者)働けるうちに頑張って貯金して、仕事をしなくなってからは貯金で過ごしたい

ファシリテーター確かに確かに!それはいい意見だね!

Bくんは働けるうちに辞めてからでも生活していけるようにしっかり貯金していきたいってことだね! Aくんどうですか?

Aくん(質問者)安定した収入っていくらくらい欲しいですか?

ファシリテーターおぉぉぉ!深掘るねー!

AくんはBくんの安定した収入が欲しいというカードの安定した収入がいくらくらいなのかなー?という質問ですね! Bくんどう思いますか?

Bくん(発表者)30万円くらい

ファシリテーター30万円くらいかあー!

Bくんは30万円くらいが安定した収入ってことだね! Aくんどうですか?

Aくん(質問者)分かりました!

ファシリテーターはい!質問してくれたAくんありがとうございました!(拍手うううううう!)

では、次質問する人ー??

*ファシリテーターが一旦受け取る(整理)することで、発表・質問タイムのテンポも良くなり、分かりづらい表現が行われた場合も全体の理解が深まる傾向にあります。

*大袈裟なくらいがちょうどいいです!!!!

うまく進行するための設定・注意点

ファシリテーター
①発表者に共感する
②質問が出ない場合は積極的に質問する
③質問してくれた子に共感する

発表者
「わからない」「なんとなく」というのは理由ではないので禁止することの周知徹底
②将来的にどう考えが変わるかということは気にせず、今の考えを重視することの周知

参加者
①発表毎に一人一回の質問をするようにルール化する
②発表者の意見や考えを否定しないことの意識付けを行う

過去のスタッフの工夫点

発言をしない人への対応で工夫している点はありますか?

明るい雰囲気づくり、一人一人が質問やアウトプットをしたことを復唱し、 全員に聴こえるようにしました。(発表者の声がめちゃくちゃ小さいことも あったので、雰囲気づくり、情報伝達を含め工夫しました)

発言をしない人への対応で工夫している点はありますか?

自分の番でなかなか発言できない子については、その子の隣に座ってどんなに 小さな声でも聞きとって反応するようにしています。 その子が発言したワードに対して反応することで、 また少しずつ発言してくれるようになりました。 他の子に対して質問できない子については、○○さんどう思う?と話をふって、 質問カードを一緒に見ながら「この質問ならいま出来そうやない?」と 質問しやすいように誘導しています。

発言をしない人への対応で工夫している点はありますか?

自分の意見を2つの角度から提示する。例をだしていく。 正解はなくてみんな違った回答がでるのがあたりまえ、 むしろそれが普通だということを伝える。

発言をしない人への対応で工夫している点はありますか?

○○ということかな?と言う様に聞いてあげた。選択肢を三つぐらい言うと、 『これ』と答えてくれるようになった。考えや、思っていることを言語化で きないだけなので、こちから読み取ってこれからなという選択肢を言語化し てあげる様に工夫した。

各自発表をするとき、どのように順番を回していますか?(個人参加プログラム)

最初に意識の高い子を指名して、めちゃくちゃ深く掘って思考させて、 承認するとその子が終わった時に緊張も解れたのか感覚を掴んでくれて(気づいてくれて)その後深堀りを手伝ってくれる説

その他

深掘り用シートを活用する場合、スマホ・タブレットの自動ロック制限を解除しておくと、自動スリープしないので良いかと思います。

参考用深掘りシート